めまい

めまいは突然起きると、立っていられない感じで、なおかつ、気持ち悪くなり、もどしてしまう方もいらっしゃいます。患者さんにとっては不愉快な症状ですし、ご心配もあるかと思います。

ご心配な理由としては、やはり脳からめまいがきているのではという恐怖心もあるかと思います。いろいろな説明が世の中には出ているかと思いますが、神経の専門家の医師として「めまい」の診療に携わってきた経験から、めまいの原因の観点から日頃患者さんにお話ししていることを以下に記載します。

 

めまい=目眩の原因は正確ではないでしょうが大きく分けて三つあると思います。内耳から来る目眩、脳から来る目眩、そして、自律神経失調症に関連した目眩です。もちろんそれ以外にもあるかと思いますが。

 

1.      内耳から来るめまい

耳の奥には、音を感じる装置とバランスをとる装置があり、それがあるところを内耳と呼んでいます。この装置の中で、とくにバランスをとるところのトラブルでめまいが起きることが多いです。

この場合には、頭の向きや位置を変えたりするときに、ぐるっと回るような・・とか、グラッとするようなめまいを感じるとおっしゃる方が多いです。つまり、ベッドから起き上がったり、振り向いたりした時に、回転するような目眩を経験する方が多いようですが、また、耳鳴りも感じる方がいます。

気持ちも悪くなりもどしてしまうことも稀ではありませんし、起き上がれずに水分すらとれないほどという方もいらっしゃいます。

原因は内耳のバランスをとる装置の中に流れている水のトラブルと言われています。

基本的には時間が解決することが多いのですが、高度な場合には専門家に診断してもらうこともいいと思います。メニエール病と言われるものも含まれますが、それなりの薬もあります。

頭の位置を変えるとめまいが起きることが多いので(良性頭位変換性めまい)、昔は静かに寝ていましょう・・だったものが、最近はむしろ、頭を動かして目の前の目標物を見たり、仰向けに寝て頭と体を左右に回すような、あえてめまいを起こすような運動をしてめまいを克服する「めまいのリハビリ」が効くと言われています。このカラムの下に記載しておきますが、僕もこれをお勧めしています。

 

2.      脳から来るめまい

これが多分一番怖いものかと思います。一般的に脳の後ろ頭=小脳あたりのトラブルで起きることが多いです。

小脳の脳梗塞を起こしたり、小脳への血管がつまりかけたりすると、フラフラしたり、左右どちらかに傾いてしまったりします。回転するような、天井が回るようなめまいは少ないと思います。

脳への血管が一部裂けるようなときや小脳に出血を起こすと、めまいの前後に後頭部痛を起こすことがあります。ひどいと、これだけでも吐いてしまうこともあります。

このような場合には、血圧とかも上がっていることが多く、ほかのめまいとの鑑別になると思います。

めまいが急に激しく起きる、あるいは、ずっと続いているようでしたら、神経の専門家に相談するのが良いと思います。

 

3.      自律神経失調症に関連しためまい

交通事故の後の鞭打ち症などでも起きるのですが、どうも原因がはっきりしていないめまいの中の多くを占めるのではと思います。

なんとなく、ふらふらする、体が揺れるような感じがする、いわゆる動揺感を訴える方が多いです。

自律神経とは、我々が意識をしていなくても勝手に働いてくれていて(自立している)、心臓の鼓動(脈拍)や体温や汗の量やお腹の動きなどを調節している神経ですが、これのアンバランスは多いと思います。アンバランスで、血管が拡がりすぎてしまうと脳への血の巡りが悪くもなるでしょうし、結果としてめまい感を感じることも多いと思います。

僕たちとしては、内耳からのめまいや脳からのめまいを否定した時には、最終的にこの自律神経からの目眩と判断に到る機会が多いです。

交通事故後のものも含めてですが、自律神経のバランスが自然に戻るまで待つしかないところがあります。しかし、その間の不安をとるためには頭の検査をしておくといいでしょうね、安心するだけで軽くなるかもしれません。また、頭が大丈夫であるとなれば、すこしでも楽になりたいでしょうから、軽い精神安定剤を飲むと気が楽になり、よくなるまでの時間の負担を減らすことができるかと思います。

左から順番にゆっくり行うのですが、体の寝返りは左右別の方向も行います。ゆっくり左右10回くらい繰り返すのが良いかと思います。